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お染久松 そよ風日傘

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昔懐かし野崎詣りのメロディに乗って、美しい花を飾った舟、舟、舟…。その中に一際目立つ振り袖は、油屋お染の晴れ姿、舟を曳くのは丁稚の久松。うっとりと夢みるよなお染に、丁稚久松の突如野暮な声が掛かる。我に返るお染の目に映ったのは、薄汚い池の中に浮かんだ一艘の小舟と、汗を拭き拭き綱を引っ張る久松の世にも哀れな姿…。折角の夢を壊されたお染は大怒りで、その勢いで久松は池の中へと落ちてしまう。落胆するお染が家に帰ると、そこには間の悪いことに、お染に首ったけのドラ息子清吉が押し掛けているし、実兄の多三郎が女遊びの金に困って、お染の晴着を盗み出そうとしている始末で、さらに憂鬱になるお染。思い余ったお染は、この道の最高権威と呼び名も高い女占い師に占ってもらうと、なんと間もなく世紀の大ロマンが待ち構えており、その相手は家の中にいるとの卦が出る。その相手は誰かとお染が首を傾げる中、二百両の金を届けないと殺されてしまうとの兄・多三郎からの手紙が舞い込んでくる。これには油屋一家は上を下への大騒ぎ。ところがこの一件、久松の思わぬ大活躍により解決してみれば、なんと金に困った多三郎が、町のごろつき鬼門の喜平や土手のお六と仕組んだ自作自演の悪巧みだった。しかし、この一件で、お染には女占い師の言った世紀のロマンスが始まる。というのは、久松の颯爽たる活躍ぶりに、お染がぞっこんに惚れ込んでしまったからだ。しかし、ままならぬのもこの世の常。その久松の野崎村の実家には、親の定めた許婚のお光がいたのだ。その上、金策に失敗した多三郎が、事もあろうに街のダニ、悪旗本の鈴木弥忠太が質入れした家宝の刀を盗み出してしまったとから、お染はどうしても山家屋のドラ息子と結婚しなければならない羽目に追い込まれてしまう。何故なら、多三郎が金欲しさの挙げ句、鈴木弥忠太、鬼門の喜平ら町のごろつき、山家屋のドラ息子らがグルになって仕組んだ芝居に、まんまと引っ掛かってしまったためだった。さらに、お染の意中の人、丁稚の久松は土蔵に放り込まれ、許婚のお光と結婚しなければならなくなってしまう。一方、お染も無理矢理山家屋の許へ嫁にやられることに…。さて、油屋はてんてこ舞いの大騒ぎになる。その騒ぎの最中、いよいよ恐れていた件の刀の請け出しと相成った。あわや油屋も一巻の終わりと思った所へ飛び込んで来たのは、久松の親父久作だった。そして、その手には刀箱が抱えられていた…。その訳は、遊興費欲しさに刀を盗み出した多三郎であったが、運悪く鬼門の喜平に見つかり、咄嗟に傍にあった久作の野菜車に隠したのであった。悔しがる山家屋とは反対に、油屋は飛び上がらんばかりの大喜びとなる。やっと、山家屋の手から解放されたお染は、恋しい久松のいる野崎村へと駆けつける。斯くして、お染と久松は目出度く結ばれることとなる。だが、その陰には、お光の悲しい恋もあったのでした。

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